ほしあかりをさがせ
山登り・サイクリング・星見・石仏探し 本命は何なのか、出たとこ勝負で行ってみましょう
プロフィール

Author:デルタ
三十才代、三重県在住の光関係の技術者です。
ネット上では、磨崖仏の研究家としてごく一部の人から認知されてる(らしい)。磨崖仏・星見・歴史小説創作については、本館のHPを見て下され。

他の任務:東洋的リバアタリアニズムの確立。
       日本まんなか共和国 勝手に観光大使

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【書評】「黒山もこもこ 抜ければ荒野」
謎めいた題名、一部の章での話題のブットビぶり、そして使われている表現の味わい深さ、
一級の「エッセイ集(=文学作品)」と評したいところ。
では、なぜ文庫でなく新書になったのか……。それは、ただの文学作品にも納まらない、社会哲学の研究者による「自分をサンプルとした、日本社会についての考察」の本だからなのだろう。

著者は、新進の詩人として名を成しつつある30歳代後半の女性(しかし本職は社会学の研究者)、水無田気流サン。
生まれ年からすると、ロストジェネレーションの第一期生、私より一学年下に当たる。
だから生まれ育った原風景を象徴的に、
「黒山もこもこ」な人混みの縁取りといい、セイタカアワダチソウに郷愁を覚えるというのには、実感しっかりと備わっているのがわかる。この人の筆の確かさも勿論あるけれど、光景の切り取り方と、分析の深さ(偏りもあるけど)にもよる、迫力があった。
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テーマ:紹介したい本 - ジャンル:本・雑誌

社会への諦観としての「立憲主義」
思わせぶりなタイトルですが、
「国家は僕らを守らない」(田村理著 朝日新書)の書評です。

原理原則に忠実な論理展開。だからこそ、日本的な「護憲主義」お人たちから見ると、かなり異端の書に見えるのでないでしょうか。

憲法とは何か/なんのために憲法を作るか
この問いには、最近の多くの啓蒙書のおかげで、皆さんためらいなく答えることができるようになってきていると思います。
「国家権力の及ぶ範囲を明確に限定するためだ」と。
この本も、最初の1章を割いて、この大原則を説明しています。
が、その先が、多くの人を戸惑わせるのでないでしょうか。
「では、国家権力以外の者どおし紛争において、憲法は意味を持つのか」
と問いかけるのです。例えば大企業による個人への人権侵害を、「憲法違反」と訴えることができるのか、と問題提起しています。
田村サンは、一章での命題を受けて、「憲法の担当範囲外だ」と断言しています。
「だって、憲法でそう書いているじゃないか。政府がなんとかしてくれよ」と国民が主張するのは、”『クルリン』と立場を変えた”という柔らかな表現を使いつつも、一種のダブルスタンダードなのだ、と喝破さえしています(なぜなら、その救済行為が、残りの国民の権利を侵害する可能性があるため)

そうして、この本が各社会問題につき分析し、たどり着く結論……。
 ・結局は、人々はその信条や理想に基づき、私的な結社で結びつきあう”個人主義”が必要になってくるのだ(それが、「自由」なのだ!)
 ・政府が人の生き方を規定できない以上、また命を道具として使うことが許されない以上、「自衛権」はあり得ないのだ

そうか、私の言っているのは、「新自由主義」ではなくって、原則を忠実になぞった結果現れる「立憲主義」だったんだ、と気付きました。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

書評「韓国の智慧 経かたびらにはポケットがない」
日本語、英語、韓国語の三カ国語で対訳が書かれてある、わずか100ページ程度の本、しかも、イラストエッセイに近いから、初学者の私でも、イラストと韓国語の文章だけで、何とか読み解ける……というわけで、語学の勉強にいいな、と思い買った本です。
題名から考えるに、かなり硬い事を書いているのかな、と思ったら、老荘思想と仏教思想とがないまぜになった、ちょっとあいだみつをサンを思わせるような、簡明な人生訓を、ずいぶんと丁寧な文体(イムニダ体)の短文で書いてあります。
かといって、語学の初級書にありがちな、子供向けのご教訓でもない。その点が、なによりありがたい。

例えば本の副題になっている文
あたふたと積み上げる物欲ども、しかし経かたびらにはポケットがない

著者は、固体物理学のベテラン研究者。あとがきには、
「忘れられた倫理に自分なりの解釈を盛り込んだ」
と書いている。が、不思議なことに儒教的なフレーズがほとんど出てこない。
その点が、韓国古来の倫理観=朱子学、と先入観があるワタシとしては不思議でもあり、新鮮でもあり。
隠すほどでもないけど、ワタシもここ3年くらい老子(老子道徳経、という本のこと)が凄く好きになってきてるので、共感が持てるところがあった。

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テーマ:韓国について - ジャンル:政治・経済

買いませんでしたが
安吾のエッセイ類が載った、大型のムック本が出版されていますね。
本屋で見つけて、胸が熱くなりました。
晩年にできたひとり息子の綱男さん(写真家)の写真と、
彼のエッセイの1フレーズと重ね合わせるグラビアページもたくさんあり、
……夢のようです。
(というのは、綱男さんは10年くらい前までは、安吾がらみのことでは表に出てこられなかったから。最近では、「唯一残された親族の責任です(苦笑)」といいつつ、バーチャルミュージアムの立ち上げやらに奔走されています)

あと、三浦しをんサンがお勧めの作品で、「風博士」をあげておられたのが印象に残りました。ま、三浦サンが安吾を読んでいるというのは、想像つきますが、風博士というあたりが意外。


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テーマ:オススメ本 - ジャンル:小説・文学

「産霊山秘録」を10年ぶりに読み解く
「親米売国奴宣言」をして迎えた今週、
ちょっと思うところがあって、半村良サンの傑作長篇「産霊山秘録(むすびのやまひろく)」を読み始めた。10年以上前、祥伝社から出た文庫本である(このカバー表紙も、他社から出た文庫本と違い、ケバケバシさがなく、好きだ)
「あること」を自分なりに確かめたかったから、とだけ、今は書いておく。

ヒ一族、……はるか古代、皇祖神よりも先に日本へ降り立ちそこを拓いていた神を祖神にもつ人々が、彼等の固く信じる日本のあるべき姿(天皇を中心とする和合の社会)を維持するために、「勅忍(天皇直参の忍者)」の命を受け、戦国時代を終結させようと社会へ介入し、その影響がなんと、アポロの月面着陸のシーンにまで及んでしまう、というとてつもないスケールで世界が構成されている。

彼らは、テレポーテーションの能力を持つ等々、普通の「里の人」に比べて突出した存在であるためか、社会へ関わりを持てば持つほど、彼等の理想の社会像からズレていき、歪んでいく(その結果顕著な災いが出ることを、「ネが現れた」と彼等は呼ぶ。つまり、「副作用だ」とある程度自覚しているといえる)。
つまりは、ヒ一族の独り相撲にもなっているともいえそうだ(意地悪ではあるが)。が、そうだとしても、彼等が永遠に「自らの理想」を求めて活動をしていれば済む話ではある。
ただし、そんな風に一筋縄にはいかない。
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テーマ:憂国 - ジャンル:政治・経済