ほしあかりをさがせ
山登り・サイクリング・星見・石仏探し 本命は何なのか、出たとこ勝負で行ってみましょう
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デルタ

Author:デルタ
四十才代、三重北勢在住の技術者です。ちょっとだけ営業マンもしてました。
ネット上では、磨崖仏の研究家としてごく一部の人から認知されてる(らしい)。磨崖仏・星見・歴史小説創作については、本館のHPを見て下され。

他の任務:東洋的リバアタリアニズムの確立。
       日本まんなか共和国 勝手に観光大使

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ある遭難事件
現在のところ解決していない遭難事件、
そして、公にしてほしくないと関係者からいわれている遭難事件。
本当は断片でも公にするのは約束違反なのだけど、
胸に納めたままにするのも辛く、要点をぼかした形で告悔します。

彼とは、直接の面識はない。
私の知り合いが勤めていたスキー場で、数年前まで勤めていた人だ。
早い話、そのスキー場は閉鎖となり、彼は失職したのだ。時に30歳台半ばだっとと聞く(つまり、私とほぼ同年配である)
それ以来、トラックの運転手として200kmくらいの距離を結ぶ定期便の運転手をやっていたという。未婚で、親元から運送事務所に出勤、そのまま1泊2日の行程をこなして明けた日は休み、という勤務形態だったという。
しかし、もともとスキー場で働くようなタイプの人のことだ。自動車に閉じこもって運転してばかりいるというのは性に合わなかったらしい。その上に、お給料もよくないこともあり、陰では鬱積するものがあったらしい。半年くらい前にその仕事を辞めた、と私は聞いている。

12月の上旬、彼はふらっと自分の車で出かけた。家族に何も言い置いていず、当初は買い物か何かに行ったのか、と皆は思っていたらしい。
しかし、夜にも帰ってこない。いぶかしみ彼の部屋を見ると、山行の装備がまるまる無くなっていることに気づき、家族の方達は青くなった。山に入っているのだ、と。

翌朝、もとのスキー場(山上にある)の麓に、彼の車が停まっていることまでは、その家族の方が見つけた。間違いない。彼は、昔の職場付近の山へ入ったままなのだ。
しかし、家族の方は、警察に届けず、昔の上司や同僚たちへ相談に行った。
 -どうやら「あの山」に行って帰ってきていない様子なのです。探していただけませんでしょうか。
誰もが、まず警察へ、と勧めたが、家族の方がそれを強く拒まれる。
「どうも息子には、『覚悟』があったみたいに思えるのです」
……死に場所を探して山に入った、と家族の方は、彼の寸前の雰囲気から信じているようなのだ。
「だというのに、警察に届けると、いろんな方へご迷惑をかけることになります。町内会や青年団にまで”山狩り”に加わって頂くことになります……。とてもそこまで申し上げられる立場でないですから」

皆、そこまで言われると絶句するよりない。
私の知り合いも、12月の中旬2日に分けて、車の停まっている位置から山上に向けて登った。その時にはすでに積雪が山肌を覆っており、道から横手に入るとまるで見通せなくなっていた。まして、その内の1日は霧に巻かれ、捜索どころでなかった。

このことを私が知ったのは、年末里帰りしたときだった。
直感として、「死に場所を求めて」の登山ではない、と思った。というより、死に場所を求める登山というのは、あり得ない、と自分の経験から感じたのだ。山登りをある程度やった人ならわかると思う。山では「楽には死ねない」のだ。
それこそ数十メートルの岩から転落すれば途中で意識を失うだろうが、真っ逆さまに落ちることはほとんどあり得ない。意識を失い切らない内に、岩面に体を打ち付けられ以降「転がり落ちる」例の方が圧倒的に多い(だから全身打撲で相当に痛い思いをしなければならない)。
じゃ、滝壺に落ちたら……。これだって、死ぬまでの間に岸の岩に叩きつけられ、あるいは渦に巻かれて苦しんだ末に死ぬことになる。ましていわんや、密林に身を隠して、という方法を取るにしても、飢えに苦しむ内だんだん正気を失っていくという例が多すぎる
……30歳台も半ばになってくると、一緒に山に登った人を遭難で失ったことが誰にもあるから、山での死がどれだけむごたらしいものであるかの心当たりもある(私も、2人知り合いを失っている)。
そんな思いをするまでもなく、ビルの屋上から飛び降りたほうが確実に死ねる……、正直私はそう思うのだ。
……山で死ぬもんじゃない……ろくな死に方ができない。月並みな言い方だけど。

だから、人々の安易な決めつけに一度は腹が立った。
「そんなことあり得ないでしょうが!」
と怒鳴りたかった。
けれど、家族の方の諦念に至るまでの心情を思い直し、怒りは表にだせなかった。

弱者とは。
自分が「弱い立場にいる」と人へ訴えられないことを特徴とする。
弱者とは、
「自分を責める」人のことをいう。

身につまされるところがあったのだけど、
やはり雪山の経験がない私には、その山域にこの季節には近づくことが出来ない、と思いとどまっている。

雪解けのころ、散華のために訪れるつもりでいる。
彼には本当にすまない気持ちでいるけれど、
それが、私にできうる精一杯である。

そして、この一件を「遭難」と呼ぶのは、私なりの抵抗でもあることを、付け加えておきたい。
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テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

この記事に対するコメント
山は「生」を見つめる場所
記事、拝見しました。コメント残して良いのかどうか、迷ったのですが...。

>直感として、「死に場所を求めて」の登山ではない、と思った。

私もそう思います。もし死に場所を求めていったのなら、山行の装備など携えていかなかったはず。あれらは非力な人間が“山と闘う”ための道具ですから。

自分の経験から言うと、山は「生」を見つめる場所。俗世からの逃避の場所であることも間違いはないですが、それとて、俗世から離れた根本的な「生」を見つめられるが故。そして皮肉なことに、死に近づくほどに「生」をより近くで見つめられる。条件の厳しい冬山は、生死を賭して「生」を見つめる場なんです。

そう、生死を賭して。もしこの「遭難」事件がそうした意志の結末であるとするなら...。結末を受け入れることは意志を受け入れることでもありますね。
【2008/01/29 10:35】 URL | 愚樵 #- [ 編集]

ヘタレなんですな>自分
愚樵さん、コメントありがとうございます。

私は親から笑われるほどのヘタレで、
積雪期には山にはほとんど近づかないのです(まれに1000m前後の山に入ることはあっても)。
ですから、
>そう、生死を賭して。
という山行は、想像するよりないというのが正直なところです。
けれども、予期せぬ事故というのは、無雪期でもあるわけでして、
死の可能性……正確には、死地に陥ったときの対応策というのは、
絶えず気にかけています。単独行ですのでねぇ。

山でも俗に出あう昨今ですけれど(苦笑)
彼にも、その俗からの一時的離脱との意識があったのだとは、私も信じているところです。
【2008/01/30 00:37】 URL | デルタ #JnoDGgPo [ 編集]

簡単には死なない
愚樵さんや、デルタさんの、「死に場所を求めて」の登山ではないに同意見です。
山は死ぬ場所ではないし、人間、そう簡単には死なない。
デルタさんの『あり得ない』の結論は妥当な判断でしょう。山を知っているもので、山に死にに行く者はいない。
今回の件が、不幸にして遭難事件であったとしても、偶然の失敗の結果である。

しかしいくらか不可解な家族の判断が気にかかる。
山に入ったとして、「夜にも帰ってこない」はないでしょう。
家族が「翌日探す」のも不思議。
「家族の方は、警察に届けず、昔の上司や同僚たちへ相談に行った。」 のは当然の判断ですが、しかし、「どうも息子には、『覚悟』があったみたいに思えるのです」 は問題で、何か思い当たる何かが有った可能性がある。
普通、冬山に入って二三日帰って来ないのは常識で、一日目に探した家族には、何か事情が有ったのでしょう。
これは遭難事件ではなく、失踪事件の可能性がありそうです。御本人が無事に家族のもとに帰って来る事を祈らずにはいられません。
この記事を読んで私よりずっと山にのめり込んでいた昔の友人の事が思い出してしまいました。彼は夏は山小屋、冬はスキー場でバイト暮らしでヨーロッパ遠征費用を捻出する為に、金の良い鳶のアルバイトもしていた。

【2008/03/04 11:22】 URL | 逝きし世の面影 #bYNys3XA [ 編集]

コメントありがとうございます。
逝きし世の面影さん
コメントありがとうございます。
山の中でも、事故の時はあっけないですが、なかなか死なないものですね。

死のう(死んでもいいや)と心に決めていても、体が勝手に動いて、受け身を取っている……なんて話も、聞くことも多いですし。

彼の場合、ご家族にかなりの不安感を与えていたように思われます。
本人はそのつもりでないでしょうが、三十歳代後半になって仕事を辞めて……となると、親御さんとしては神経質になられることでしょうし。
さらに今回は、何ごとも言い置くことなく、山行の装備だけを持っていった、ということで、
余計、不安を助長している様子でした。

>失踪事件の可能性がありそうです。
この可能性を、ちっとも考えていませんでした。
話してみることにします。
【2008/03/06 00:19】 URL | デルタ #JnoDGgPo [ 編集]


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