ほしあかりをさがせ
山登り・サイクリング・星見・石仏探し 本命は何なのか、出たとこ勝負で行ってみましょう
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デルタ

Author:デルタ
四十才代、三重北勢在住の技術者です。ちょっとだけ営業マンもしてました。
ネット上では、磨崖仏の研究家としてごく一部の人から認知されてる(らしい)。磨崖仏・星見・歴史小説創作については、本館のHPを見て下され。

他の任務:東洋的リバアタリアニズムの確立。
       日本まんなか共和国 勝手に観光大使

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講座受講報告「絵巻物に親しむ」
1/31、三重県総合文化センター主催の市民講座で、表題のようなものがあったので受講してきました。
チラシには、伊勢物語絵巻を読むとあったので、てっきりスライドか何かで、伊勢物語絵巻の解説でもしてもらえる講座なのか、と油断していったら、大間違い。

レプリカとはいうものの、本当に絵巻物を手に取り、まさにひもときながら読んでみましょう、というものだったのです。
はっきりいって慌てましたわ、私。
周りを見ると、たしかに掛け軸とかを自宅に持っておられそうな、ご老齢の方ばかり。私以外に40歳台の男の人がひとりだけ、というかなり場違いな場所に居て、
「え、え?絵巻物を、桐の箱から出して?」
とひたすらビビリまくってます。

巻物、正確には「巻子装(かんすそう)の文書(もんじょ)」ということになるのでしょうけど、それをどういう風に読むか、想像できますか?私がとっさに浮かんだのは、有名な平清盛像です。巻物を両手に取って首をひねっている、あの姿。ああやって、手にとって……と思っていたのですが、実はそうではない。

実際には、和机の上に中性紙(和紙でもいい)を敷いて、その上を静かに移動させながら、部分的に開いていくのです。巻子装の端には、「八双」という細い軸がついていて、さらに一周分、布装である見返しがついています。この部分についた巻癖にまかせ、自然な勢いで一方の端を巻き取りつつ、肩幅程度を開いていく。
見返しが特に厚みがあり、たぶん5mくらいの巻物なのに、かなり重量感があり、かつ、ゴッツイ肌触りがありました。

そうして現れる紙面には、絵巻には詞書と絵とが交互に現れるわけで、まず文章を読みとり、その後少し送って絵を見る、という順番になります。
今回教材として使わせていただいたのは、斎宮歴史博物館に所蔵の「伊勢物語絵巻」の第六十九段「狩の使い」を抜き取ったレプリカです。
当然、斎宮(斎王)に関係のある話……

男(在原業平?)が狩の使いとして、伊勢へ下向した際、斎王が彼を訪ねてきた。その場では何事もなく終わった(が、男は機会を狙っている、という含みがある)。その男の腹づもりを知らず、男を訪ねてきた客が夜通しの宴で彼をもてなす。そして明けた朝、男は尾張へ発つのだが、斎王から杯が送られてくる。和歌の上の句を添えて……。
というお話。
(いくらなんでも、斎王にとってスキャンダルすぎるこんな話、ちょっとあり得ないでしょうけどね。伊勢物語だからこそ許されるファンタジーなのでしょう)

さて、この伊勢物語絵巻じたいは、江戸時代の作。
言われてみれば、畳敷きの部屋で酒盛りしていたり、「男」になぜか「鷹匠」が付き添っていたり、という、時代考証的には謎な描写になっています。が、おもしろいもので、こういう絵での「間違った」情報が、実際に描かれた時代を推定する手がかりになるのだそうです(講師の学芸員さんによる)

勢いよく開くことはできても、巻き取るのが大変。
片手で、幅方向の中央辺りを持ち滑らせながら巻き取っていくのですが、手元での数°のずれが巻き取るうちに増幅されていく……3周もすれば、立派にタケノコ状態になってしまうのです。そのたび、いったん解いていって、また巻き取る、の繰り返し。
はあ、こんな苦労をするのなら、綴じた冊子のほうがよっぽどいい!
実際、巻子装のこの種の扱いずらさが、あのように「綴じる」書物を産んだのでしょうね。

さて、巻物を手に取る前に、講師から、文化財保存・取り扱いについてのレクチャーがありました。理系の私には、こちらが面白かったので、私見も交えて、書き留めておきます。

文化財は、3つの害によって損なわれる可能性があります。
・火事や災害
・環境
・人災
とりわけ、環境の観点は、考えはじめるとなかなか深いものがあります。
 生物による損傷(虫食いとか、カビとか)
 物理的な損傷(温湿度、ホコリ)
 科学的な損傷(酸、光など)
温湿度などは、物理をやっていた身としては、良いアイデアだせそうなのだけどな、私にも。
要は巻子装の場合でいえば、見返しや裏打ちに使われる緞子などの布と、料紙(絹の場合もある)との、温度・湿度に対する膨張率の差で、剥がれが発生するという問題なのだ。
こういうのって層構造の製品を扱っている人なら、良いアイデアだせるでしょうね。
裏打ちの生地に料紙と同じ物質(繊維)を使って織った不織布を使うとか、糊に弾性を持たせるとか。
もちろん、装幀も含めて文化財なのだから、それを改変してしまうのは本末転倒だけど、
環境変動に強いレプリカを作る、ということなら、メーカーもがんばり甲斐があるだろう、文化財保護の関係者から、材料メーカへ声を掛けて欲しいな。
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テーマ:日本文化 - ジャンル:学問・文化・芸術

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