ほしあかりをさがせ
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デルタ

Author:デルタ
四十才代、三重北勢在住の技術者です。ちょっとだけ営業マンもしてました。
ネット上では、磨崖仏の研究家としてごく一部の人から認知されてる(らしい)。磨崖仏・星見・歴史小説創作については、本館のHPを見て下され。

他の任務:東洋的リバアタリアニズムの確立。
       日本まんなか共和国 勝手に観光大使

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「小さな恋のメロディー」が語る階級社会の姿
林信吾サンと斎藤貴男サンとが対談本を出している。題して
「ニッポン不公正社会」(平凡社新書)
階層社会でなく、階級社会がくるぞ、このままだと。
という、林サンの見解に共鳴するところが前からあって、この本も買った。
その中で、林サンが「小さな恋のメロディー」という映画の一場面に触れて、イギリスの階級社会の、ローワーミドル階級での家庭環境の悪さを指摘している。

「ヒロインの女の子が、たぶん初めてボーイフレンドを連れてきたシーンで、お母さんが、「お父さん帰ってきているわよ、仮釈放で」なんて平気な顔でいうんだよ。これって怖い話じゃない?」(同書P.38より)

これで思い出した。
「小さな恋のメロディー」(1970年英国)は、格差社会を語るときに、数々のヒントを含んでいそうだ。
舞台は、パブリックスクール、名門私学中学校といったところか(といってもピンキリだとの話だけど)。
そういう学校に子供を入れられたということで、主人公のお母さん有頂天になっているかというとそうでもないらしく、「これだから、パブリックスクールに行かせるのには反対だったのよ、グラマースクール(公立の進学校)に行かせるべきだったのよ」と金切り声を上げているシーンがある。
……時代はベトナム戦争のころ、当時のことはぼんやりとしか僕も知らないけれど(仮に知っていてもそれはあくまで日本の片田舎のことだけど)、
”有名私学に行かせて、特権意識だけ刷り込まれるよりは、公立の進学校に行かせたい、”
という、時代の風潮があったのをなんとなく覚えている(兄が高校進学するころだったので、そういうやりとりが両親の間であったのをうっすら覚えている)。
そういう、ある種の「リベラルさ」があるのとうらはら、このお母さん、主人公に恋人ができたと知って、こんなことを宣う。
「キチンとしたおうちの子なの、その子」
……主人公の子はそんなお母さんに嫌悪を覚えるのだけど、一方、ヒロインの子の家庭事情が複雑なのを見て取っていることもあって、何も言い返せない
そんなシーンがあったり、
主人公の親友で、貧しいボブがどうやらユダヤ人らしい、ということを暗示していたり、と、丁寧に読み込んでいくと、イギリスの階級社会のありようが、端々に現れている。

けれど、この映画は主人公たちの行動の可愛さから、「心のホンワカする良い作品だよね」と日本では広く受け入れられてきた。40歳代後半の方、そうですよね?(林サンをはじめ、この世代の方に大ファンが多いこと、私はよく知ってます)

そこが、私には怖いのだ。
階級の前提となる、世襲や貧しい家には家庭になにがしかの問題があっても不思議でない、となんとなく当たり前に見なしてしまう、我々の不注意さが、だ。

林サンの指摘にあるとおり、資産や収入の階層が世代を超えて受け継がれ、やがては文化の差異にまで広がっていくことが、階級社会の恐ろしいところ。
世代を超えて、というのがクセモノで、そこには、我々日本人には、軽々しく受け入れる傾向がある、天皇家の例を出すのは無粋としても、林サンが前著(「しのびよるネオ階級社会」平凡社新書)でやり玉に挙げている例だけど、歌舞伎俳優が「歌舞伎味というのか、幼い時からこの世界で育たないと、身につかないものもあるんです」と世襲制を容認するのを、「そんなものか」と納得してしまう……そんなメンタリティーの上に、貧富の格差が重なったときに、実は、相乗して社会の停滞感が募っていくことになる。

さあ、これで、我々が敵にせねばならない制度がはっきりしたのでないだろうか。
貧富の格差だけが問題なのではない、我々がどこかで憧れている「名門」「高貴(ノーブル)な生活感覚」といった、「封建制の遺物」との複合を用いることによって、富を独占する一握りの特権階級がいる(太平記の京極道誉みたいな人を想像してほしい。こういう人はものすごくカッコよく、大衆受けするから余計警戒する必要があるのだ、って僕も人のことを言えない。道誉の大ファンだから-苦笑)

私たちがやらねばならないことは、そういう「勝ち逃げ組」の化けの皮を剥がすことのはずだ。
これは、成功者への嫉妬ではなく、成功への報酬を1代だけに留める、という覚悟の問題なのだ。なるほど「血筋」「家柄」に頼るのは、非常にたやすい。会社でも、社長の後継者で揉めた場合、丸く収める方便として世襲を使うことが多い。
公益企業の大手私鉄(西武と阪急)でさえ、そんなことがまかり通るのだ、この国では。

「市場原理主義者」ホリエモンへの非難競争に必死な人たちに問いたい。
上に私が書いたことをマジメに問題視したことがあるだろうか?

「市場原理主義者」の中でも、例えば「国家民営化論」の笠井潔サンや、森村進サン(一橋大の法哲学の先生)は、遺産相続の禁止を訴えていることを、付記しておく。
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テーマ:それでいいのか日本国民 - ジャンル:政治・経済

この記事に対するコメント
名犬ラッシーもすごいです
はじめまして。
最近ラッシーの原作本をよんだらこれもすごかった。
子どものころは気づかなかったたくさんの問題が赤裸々に書かれてました。
主人公の少年は父親が炭鉱閉鎖で失業、仕方なく犬を手放す。
その犬を買い上げるのは貴族。ひえ~
またよらせていただきます。
【2006/04/04 16:14】 URL | おこじょ #n08XGfOg [ 編集]

目覚めよ諸君!
我々は、肝腎なところを知らされていないぞ、
とついつい檄文を放ってみたくなる気分です
こういうお話を聞くと。

おこじょさん、コメントありがとうございます。

名犬ラッシーにしてもそうですし、
私の経験でいうと、キャシャーン(昔のアニメの方です)でも同じようなことを感じました。
記憶が薄れるうちに、作品の持っているトンガッタ部分も丸くなってしまってて、
読み返すと意外、というものが多いですね。

水上勉さんの「ブンナよ木からおりてこい」に現れる死生観に至っては、世に有名な「水上文学」以上に鋭い。
私たちが子供だったころに、真摯に私たちへ語りかけてくれていた作り手の思いを、
さて自分たちは受け継いでいってるのか、反省させられますね。
【2006/04/06 00:09】 URL | デルタ #JnoDGgPo [ 編集]

文楽は世襲じゃないけど
どこかの公演で、文楽人形遣いの三代桐竹勘十郎氏が
「文楽の世界は世襲制ではないので実力があれば主遣いにもなれます」
といったのを聞き「でもあなた親子で人形遣いっしょ」と思った私です。
女形の一番弟子で立役の父親の名跡? という点でも(実力はあっても)、
一般家庭出身の研修生じゃそれダメでしょ、って疑問を未だもってます。

歌舞伎のようなルール(?)としての世襲でなくとも、
家系を理由にして周囲が容認、あるいは背中を押す。
そういう文化は「実力の世界」でさえ、確実にあると私も思ってます。

いずれ、日本で成功するにはサッカーと音楽だけになるのかしら(笑
(でも、どっちも日本ではお金がかかります#クラブ費、スタジオ代)
【2006/04/09 03:50】 URL | Kabla #z8Ev11P6 [ 編集]

「王であることが罪なのだ」
Kablaさん、こちらにもコメントありがとうございます
文楽の世界にも、そういう面があるのですね。
故勝新太郎サンが家業の義太夫(曲師でしたか)に反逆しつつ、最後まで縁を切ることがなかったのを思い出し、「伝統」の重荷をあらためて思ってしまいます。

ひとりの人間として一対一で対峙するならば、こういう世襲……いや「家業」が決まっている人が跡目を継ぐという心理に凄く興味を持つし、同時に敬意も沸くんです。これ、正直な気持ちです。この立場だったら、私、逃げ出すと思うから。
貴花田->貴乃花や、三代目春團治サンとか桂小米朝サンが、葛藤を乗り越えて自分独自の立ち位置をつくっていってるのは、凄い(小米朝サンなど、葛藤を感じさせないから、もっと凄い!?)

が、社会的な制度とされると淀んだものを感じるのですナ。ましてや、そこには、権威や、謝礼・上納金に代表される経済的なアドバンテージが絡むとなると、アンシャン・レジームを打倒せよ、と花柳幻舟サンの真似しいをはじめてしまう。

> サッカーと音楽だけになるのかしら
確かにこの二つは、日本では大変お金がかかりますね。
音楽にいたっては、チケットを自分で買わないといけないし(泣)
どちらも、インフラの使用料がやたら高くなりすぎたように感じます。
ウチのオカン(ママさんコーラス団員)も、
「なんで”びわこホール”で定期公演せんならんノン!」とぼやきつつ、
チケットウン枚を引き受けてます。

びわこホール
http://www.biwako-hall.or.jp/index.html
確かに高いわ(苦笑)けど、これが大津で一番ポピュラーな舞台だからな……。
【2006/04/10 21:14】 URL | デルタ #- [ 編集]


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